日本ガス石油機器工業会は、停電のとき「コンセントの電気(商用電源)を使うかどうか」で、使える機器と使えない機器を分けています。それをもとに、暖房を3つに分けました。
冬の停電に備える暖房
電気がなくても使えるもの・少しの電気で使えるもの
冬に停電すると、エアコンだけでなく、石油ファンヒーターも止まります。このページでは、「停電で止まる暖房」「電気がなくても使える暖房」「少しの電気で使える暖房」を表にして、使うときの安全の注意と、電気まわりの備えをまとめました。公的な資料とメーカーの数字をもとにしています。
先に結論
- コンセントの電気を使う暖房は、停電すると使えません:エアコン、石油ファンヒーター、ガスファンヒーター、ガス温水式の床暖房などです。石油ファンヒーターも、電気で動くので止まります。
- 電気がなくても使えるのは、石油ストーブ、ガスストーブ、カセットガスストーブなど:どれも火を使うので、換気とやけど・火事の注意がいります。
- 火を使わない備えも、ひとつ持っておくと役に立ちます:湯たんぽ、毛布、重ね着、カイロがあります。
- 電気毛布は、少しの電気で使えます:メーカーの表示では、消費電力は40〜75Wほどです。ポータブル電源があれば、停電のときも使えます。
- 一酸化炭素中毒は、気づきにくい事故です:一酸化炭素は色もにおいもありません。火を使う暖房は、窓を開けて換気をしながら使います。
停電のとき、使える暖房・使えない暖房
| 暖房 | 停電のとき | ひとこと・気をつけること |
|---|---|---|
| 停電で使えないもの(コンセントの電気を使う) | ||
| エアコン | 使えない | 内閣府は、停電でエアコンが使えない場合に備えて、暖をとる手段を用意するよう呼びかけています。[1] |
| 石油ファンヒーター | 使えない | ファンと点火に電気を使うためです。灯油を使っていても止まります。[2] |
| ガスファンヒーター、ガス温水式の床暖房 | 使えない | 100Vの電源が必要なガス機器は、停電のときは使えません。[3][2] |
| 電気ストーブ、ホットカーペット、こたつ、電気式の床暖房 | 使えない | 電気をそのまま熱にする暖房です。電気が止まると動きません。 |
| 電気がなくても使えるもの | ||
| 石油ストーブ | 使える | 電池で火をつける機種は、電池も用意します。換気とやけどに注意。[2] |
| ガスストーブ(コンセントを使わないもの) | 使える | 機種によって違うので、取扱説明書で確かめます。[2][3] |
| カセットガスストーブ | 使える | イワタニ「マイ暖」は、電池も電源コードも使いません。カセットボンベ1本で約3時間20分(標準運転)。暖める広さの目安は、木造戸建で3畳まで。[4] |
| 湯たんぽ | 使える | お湯をわかす方法(カセットこんろなど)が別にいります。低温やけどに注意。[5] |
| 毛布・重ね着・携帯用カイロ | 使える | 消防庁の「非常用持出品チェックシート」にも、毛布、防寒用ジャケット、携帯用カイロがあります。[6] |
| 少しの電気で使えるもの | ||
| 電気毛布 + ポータブル電源 | 電源があれば使える | 消費電力は40〜75W(アイリスオーヤマの例)。使える時間は、ポータブル電源の大きさで決まります。[7][8] |
石油ストーブ、石油ファンヒーターのくわしい話は、石油ストーブ・石油ファンヒーター、今どきどうなの?にあります。
少しの電気で使える:電気毛布とポータブル電源
電気毛布は、暖房の中でも使う電気がとても少ないほうです。アイリスオーヤマの商品ページには、次のような数字があります。電気代は、電気の単価 31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安)で、温度つまみを「弱」にして20℃の部屋で1時間使った場合の目安です。
| 商品 | 消費電力 | 1時間の電気代(弱) |
|---|---|---|
| 電気しき毛布 EHB-FK1480B(ライトブラウン/ダークブラウン) | 40W | 0.5円 |
| 電気しき毛布 EHB-1913-T | 60W | 記載なし |
| 電気かけしき毛布 EHB-FR1813B-DT | 60W | 0.7円 |
| 電気かけしき毛布 EHB-1813-T | 55W | 記載なし |
| 電気かけしき毛布 フランネル素材 EHB-F1813-DT | 75W | 記載なし |
同じ会社の解説記事では、シングルサイズの一例として、温度の設定が「強」で60〜80W、「中」で30〜50W、「弱」で10〜20Wとされています。設定を下げると、使う電気も少なくなります。
ポータブル電源で何時間使える? ポータブル電源のメーカー(Jackery)は、使える時間を「バッテリー容量(Wh)× 80% ÷ 使う家電の消費電力(W)」で計算する方法を紹介しています。80%を掛けるのは、電気のロスがあるためです。この式にあてはめた例です。
500Whのポータブル電源 × 0.8 ÷ 60W = 約6.7時間(「強」にあたる60Wで使い続けた場合)
500Whのポータブル電源 × 0.8 ÷ 20W = 約20時間(「弱」にあたる20Wで使い続けた場合)
実際の時間は、機種や使う場所の温度で変わります(Jackery)。自分のポータブル電源と電気毛布の数字で計算するなら、ポータブル電源 使える時間の計算を使ってください。
安全のために:火を使う暖房
一酸化炭素中毒と換気
- 一酸化炭素は、色もにおいもありません:気づきにくく、中毒で命を落とすこともあります(NITE)。[9]
- 閉めきった部屋で、換気をしないまま長く使わない:石油ストーブやカセットこんろを使うときは、定期的に換気をします(NITE)。[9]
- 換気の目安は、1時間に1〜2回、窓を開けること:停電中は換気扇も止まるためです(日本ガス石油機器工業会)。[2]
- テントや車の中では使わない:カセットガスの機器をせまい場所で使うと、不完全燃焼で一酸化炭素中毒になるおそれがあります(NITE)。[10]
- 発電機は屋内で使わない:携帯発電機の排ガスには一酸化炭素が入っています。屋外でも、風通しのよい場所で使います(消費者庁・経済産業省・NITE)。[11]
カセットボンベの扱い
- ボンベの期限:製造から約7年以内に使い切るのが目安です。カセットこんろは、製造から約10年以上たったら買いかえを考えます(日本ガス石油機器工業会)。製造年月は、ボンベの底にある8けたの数字で分かります。[12]
- 保管:使ったあとは機器から外し、室内の40℃未満の涼しい場所に置きます。直射日光や熱源のそばには置きません(NITE)。[10]
- 取りつけ:ボンベの切欠き(へこみ)と、機器の出っぱりを合わせます。合っていないと、ガスがもれて火事のおそれがあります。[11]
- 温めない:ガスの出が悪くても、ボンベを温めてはいけません。中の圧力が上がって破裂するおそれがあります(NITE)。[10]
- ストーブの近くに置かない:暖房機の近くなど、高温になる場所に置いたり使ったりしません(日本ガス石油機器工業会)。[13]
- 使い切ってから捨てる:缶を振って音がしなくなるまで使い、地域のルールで捨てます。[10]
- 古いものから使う:日ごろ使って、使った分を買い足す「ローリングストック」が勧められています。[10][12]
火事とやけどを防ぐ
- 給油は火を消してから:カートリッジタンクは、ふたが閉まっているか確かめます。灯油は、昨シーズンの古いものを使いません(消防庁・NITE)。[14][15]
- まわりに燃えやすい物を置かない:ふとん、座布団、衣類、カーテンを近づけません。上や近くに洗濯物を干しません。スプレー缶も近くに置きません(消防庁)。[14]
- 寝るとき、出かけるときは消す:火を使う暖房は、消してから寝る、出かけるようにします(消防庁)。[14]
- 灯油の保管:金属製の容器か、「型式試験確認済証」または「推奨マーク」のあるポリエチレン製の容器に入れ、栓をしっかり閉めます。火から遠い冷暗所に置き、地震で倒れたり落ちたりしない場所を選びます(消防庁)。[14]
- 暗いときは、あかりをつけて操作する:朝や夜の停電は、まわりが暗くて操作をまちがえたり、熱い部分にふれたり、ぶつかって倒したりしやすくなります(日本ガス石油機器工業会)。懐中電灯やランタンを手もとに置きます。[2]
湯たんぽ・電気毛布:低温やけどに注意
- 同じところを長く温めない:ここちよい温かさでも、同じ皮ふに長く当たると低温やけどになります。高齢の方、子ども、糖尿病の方は重くなりやすいとされています(消費者庁)。[5]
- 低温やけどになるまでの目安:44℃で3〜4時間、46℃で30分〜1時間、50℃で2〜3分と言われています(NITE)。[16]
- 寝るとき:湯たんぽは、ふとんを温めたら、寝る前にふとんから出します(消費者庁)。電気毛布は、寝る前に温めて、寝るときは低い目盛りに下げるか、スイッチを切ります(NITE)。[5][16]
- 湯たんぽの点検:ひび割れがないか、使う前に確かめます。決められた量のお湯を入れ、直火やIHで温めるときは口金を外します(消費者庁)。[5]
- 電気毛布のコード:無理に曲げたり、引っぱったり、本体に巻きつけたりしません。ヒーター線がいたむと、故障や、煙が出る・燃えるなどの事故につながることがあります(NITE)。[16][17]
電池を使う道具の注意
- ポータブル電源・モバイルバッテリー:リチウムイオン電池を使っているため、熱や強い衝撃をあたえないようにします。屋外で使うときは、雨水が入らないようにします(NITE)。[10]
- モバイルバッテリー:付属の充電器を使い、ケーブルの差し込み口に水気がつかないようにします(消費者庁・経済産業省・NITE)。[11]
電気が戻ったとき
- 電気ストーブやヒーターの上に、布が落ちていないか見る:停電が終わって電気が戻ったとき、上に落ちた布から火が出ることがあります。避難するときは、ブレーカーを切るよう、内閣府が呼びかけています。[18]
暖房を使う前の点検は、冬支度チェックリストにもまとめています。
備えのチェックリスト:電気まわり
量の目安は、公的な資料に書かれているものだけを載せました。数字がないものは、公的な資料に目安が見つからなかったので、家族の人数や暮らしに合わせて決めてください。
- 懐中電灯:消防庁の「非常用持出品チェックシート」にあります。東京都の「今やろう防災アクション」は、4人家族の例で2個としています。内閣府は、リビングや寝室に懐中電灯や足元灯を置くよう勧めています。[6][19][18]
- LEDランタン:量の目安は、公的な資料に見つかりませんでした。部屋全体を照らしたいときに、懐中電灯とあわせて考えます。
- 予備の乾電池:消防庁の持出品チェックシートにあります。石油ストーブを電池で点火する機種や、ラジオ、懐中電灯に使う電池の種類をそろえておくと、考えやすくなります。[6]
- ラジオ:消防庁の持出品チェックシートに「携帯ラジオ」があります。内閣府は、ラジオと予備の電池を置くよう勧め、手動で充電できるラジオもあると紹介しています。[6][18]
- モバイルバッテリー:東京都の4人家族の例では、携帯電話の台数ぶん(例:3個)です。[19]
- ポータブル電源:公的な資料に、量の目安は見つかりませんでした。電気毛布を使う時間と消費電力から、必要な大きさを計算できます(計算ツール)。
- カセットボンベ:東京都の4人家族の例は、カセットこんろ1台に、ボンベ6本です。暖房に使うときは、ボンベが何本いるかを機器の説明書で確かめます。[19]
- 日数の考え方:首相官邸は、飲料水と非常食は3日分を目安とし、大規模な災害では1週間分の備えが望ましいとしています。東京都は、都の地震の被害想定で、電気の復旧まで約4日としています(地震の場合の想定で、冬の停電すべてにあてはまるものではありません)。[20][21]
あわせて読みたい・使いたいページ
よくある質問
石油ファンヒーターは、停電のとき使えますか?
使えません。日本ガス石油機器工業会は、停電のとき使えない機器として石油ファンヒーターを挙げています。使えるのは、コンセントの電気を使わない石油ストーブなどです。
電池で火をつける石油ストーブなら、停電でも大丈夫ですか?
コンセントの電気は使わないので、停電でも使えます。ただし、換気(1時間に1〜2回)、燃えやすい物を近づけないこと、給油は火を消してからなど、ふだんと同じ注意がいります。停電で換気扇が止まったり、まわりが暗かったりするので、いつもより気をつけてください。
カセットガスストーブは、停電のとき使えますか?
イワタニの「マイ暖」は、電池も電源コードも使いません。ほかのメーカーの機種は、取扱説明書で電気が必要かどうかを確かめてください。屋内専用か、使う広さの目安はどれくらいかも、説明書に書いてあります。
電気毛布は、ポータブル電源で一晩使えますか?
ポータブル電源の大きさと、電気毛布の設定しだいです。たとえば500Whなら、60Wで約6.7時間、20Wで約20時間という計算になります(容量×0.8÷消費電力)。ただし、寝るときは低い目盛りに下げるか切るのが、NITEの注意です。
湯たんぽのお湯は、どうやってわかしますか?
停電のときは、カセットこんろなどが使えます。カセットこんろは、せまい場所や閉めきった部屋で長く使わず、換気をしながら使います。大きな鍋や鉄板をのせたり、2台並べたりすると、ボンベが熱くなって破裂するおそれがあります(消費者庁・経済産業省・NITE)。
火を使わない備えだけで、足りますか?
地域や家の造り、人数によって変わるので、このページでは言い切れません。毛布、重ね着、カイロ、湯たんぽは、火を使わずにすむ備えです。寒さが厳しい地域では、火を使う暖房を換気しながら使う備えも、あわせて考えてください。
計算の根拠と出典
出典を見る
計算の根拠:電気の単価は31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)。ポータブル電源の使える時間は、Jackeryの式「バッテリー容量(Wh)× 80% ÷ 消費電力(W)」で計算した理論上の目安です(500Wh×0.8÷60W=6.67時間、500Wh×0.8÷20W=20時間)。内容は2026年10月29日に確認しました。
- [1] 内閣府(防災情報のページ)「家庭における地震時等の停電対策について」(エアコンが使えない場合の備え)
- [2] 日本ガス石油機器工業会「停電時のガス機器・石油機器の使用に関する注意」(使えない機器:ガス暖房機器・石油ファンヒーターなど。使える機器:ガスストーブ・石油ストーブなど。換気は1時間に1〜2回。暗い時間の操作の注意)
- [3] 東京ガス「停電時のガス機器利用について」(100V電源が必要で使えない機器:ファンヒーター、ガス温水床暖房など)
- [4] イワタニ「カセットガスストーブ“マイ暖”」商品ページ(電池・電源コード不要、標準運転で約3時間20分、木造戸建3畳まで、4つの安全装置)
- [5] 消費者庁「ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!」(令和2年12月16日)
- [6] 総務省消防庁「非常用持出品チェックシート」(懐中電灯、携帯ラジオ、予備の乾電池、毛布、防寒用ジャケット、携帯用カイロ)
- [7] アイリスオーヤマ「電気しき毛布」商品ページ(EHB-FK1480B 40W・弱で1時間0.5円、EHB-1913-T 60W。電力単価31円/kWh)
- [8] アイリスオーヤマ「電気かけしき毛布」商品ページ(EHB-FR1813B-DT 60W・弱で1時間0.7円、EHB-1813-T 55W、EHB-F1813-DT 75W)。同社の解説記事「電気毛布の電気代は安い?」(強60〜80W、中30〜50W、弱10〜20W)
- [9] NITE(製品安全センター)「災害時の製品事故の防止について(注意喚起)〜一酸化炭素(CO)中毒の事故防止〜」(2011年3月16日)
- [10] NITE「備えただけでは、憂いあり〜ライフライン停止時に活躍する製品で気を付けるポイント〜」(2025年8月28日。カセットボンベ、カセットガスストーブ、ポータブル電源、モバイルバッテリー)
- [11] 消費者庁・経済産業省・NITE「携帯発電機・カセットこんろ・モバイルバッテリーの使用にご注意ください」(令和4年8月26日)
- [12] 日本ガス石油機器工業会「カセットこんろとカセットボンベは経年劣化します」(ボンベは製造後約7年以内に使い切る、こんろは約10年以上で買いかえを検討)
- [13] 日本ガス石油機器工業会「カセットこんろ・カセットボンベの安全な使い方」(ストーブの近くで使わない、40度以上の車内に置かない)
- [14] 総務省消防庁「消防の動き」2022年12月号 p.27「ストーブの安全な取扱いについて」
- [15] NITE「ストーブとの程よい距離感が大切です〜『電気』『石油』暖房器具の事故を防ぐ 4+1 のポイント〜」(2025年10月30日)
- [16] NITE 製品安全情報マガジン Vol.493「電気マット、電気毛布、電気あんかの事故」(低温やけどの目安:44℃で3〜4時間、46℃で30分〜1時間、50℃で2〜3分)、NITE「就寝時の“足元”暖房にご用心!」(2025年1月14日)
- [17] アイリスオーヤマ「電気毛布の電気代は安い?」(電源コードを強く折り曲げない)
- [18] 内閣府政策統括官(防災担当)チラシ「大規模地震発生!どうする?」(懐中電灯・足元灯、ラジオと予備の電池、復旧時の電気ストーブ・ヒーターの火災、ブレーカーを切る)
- [19] 東京都防災ホームページ「今やろう防災アクション 備蓄」(4人家族の例:カセットコンロ1台、カセットボンベ6本、懐中電灯2個、携帯電話の予備バッテリーは台数ぶん)
- [20] 首相官邸「災害が起きる前にできること」(飲料水・非常食は3日分が目安、大規模災害では1週間分が望ましい)
- [21] 東京都「『東京備蓄ナビ』で在宅避難の準備を始めよう」(電力の復旧まで約4日。令和4年東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定」による)
- ポータブル電源の計算式:Jackery「ポータブル電源で電化製品を使える時間は?計算方法を分かりやすく解説」(更新日 2026年9月30日)



